事業コンセプトをしっかり定めると、
事業計画をしっかりまとめることができます。

ここでいうコンセプトとは、「事業全体を貫く一貫した方針」。
事業を成功させるための方向性・方針のことです。

事業コンセプトは、価格・場所・原価など、事業にかかわるすべてのことを、
決めていく基準となるものです。

でも、意外に漠然としているケース、頭の中にしかないケースが多いのが現状です。

plan-naviのコンセプトメーカーはそのために考え出したツールです。

手順に基づいて、チェックする項目と計画の関係を考えて、
短いフレーズを書くだけ、
そてだけでコンセプトチャートが自動的に完成します。

事業計画の狙いや重きを置かなければならないポイントが明確になるのです。

エクセルが必要ですが、無料のエクセルオンラインでもご利用いただけます。

plan-naviをご利用でない方にも無料でフォームをプレゼントしています。
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目次

コンセプトメーカーの構造

コンセプトメーカーは

  1. 「事業コンセプトチェックリスト」に照らし合わせて計画のポイントをピックアップ
  2. ピックアップした計画のポイントを組み合わせて計画のキャッチフレーズを作成 
  3. 自動作成された定型のコンセプトチャートを確認

という流れでできています

作成の過程であなたは少なく次のことを確認することになります。

  1. あなたの事業に競合先より優位な点は存在するのか?
  2. 事業を成功させるための狙いはどこなのか?
  3. そのためにはどのような工夫が必要なのか?

そして、その確認した内容がコンセプトチャートとして視覚的にまとまります。

事業コンセプトチェックリスト

事業が成功する要素を大胆に突き詰めると3つに絞ることができます。

  1. 市場=あなたの商品・サービスに対する需要は事業が成立するほど存在するか?
    あらたに需要を生み出す場合も含みます。
  2. 商品力=あなたの商品・サービスの価値は競合相手のものより優れているか?
    価格競争力も含みます。
  3. 訴求力=あなたの商品・サービスは、あなたの顧客層に認知されるかどうか?
    動線も含みます。

事業が成功するためには、
「顧客に」
→「商品・サービスを知ってもらい」
→「内容を認めて買ってもらう」
ということが必要だということです。

そして、リピートが必要な場合は
「あなたの商品・サービスやフォローに満足してもらう」ということが加わります。

この3項目を細分化したものが
「コンセプトチェックリスト」。
項目ごとに考えてみてください。

これだけの項目を
一度考えてみるということが
確実に計画の質を高めます。

 

 

 キャッチフレーズ化

チェックリストで選んだ項目を3つのグループに分け、短いセールストークにし、
さらに短く広告のキャッチコピーのようなフレーズにします。

このキャッチフレーズ化の過程で、余分なものがそぎ落とされ、
あなたが大切だと考えているポイントが浮き彫りになってきます。

キャッチフレーズはたった3つですが、
6から9程度の要素を入れられます。
逆に多すぎると、散漫になります。

万能コンセプトチャート

コンセプトチャートには
説明用としてだけではなく、
コンセプトそのものを導き出したり、
事業要素の方向性の関係を視覚的に判断したり、
いろいろな使い方が存在します。

チャートの形も様々に変化するのが通常です。
まるで工程表のような複雑なものも存在します。

しかし、大規模な開発計画でもない限り、
事業計画に使用するコンセプトチャートは、
重要点を解かりやすく表したものであればよく、
しかも、その中心はあなたの事業計画(名)に定まっています。

つまり、「~」を実現する「○○計画」を図形化すればいいだけ。
単純化もパターン化もできてしまいます。

コンセプトメーカーの作成手順と例

では、具体的に作っていきましょう。
例として、ビジネス街に居酒屋を開店することにします。

事業計画の例ではありません。
あくまでコンセプトメーカーの使い方の例ですのでご注意ください。

例と同じようにご自分の事業を考えていってください。
終わったときに、コンセプトチャートが完成しているはずです。

作成手順1-重要ポイントの選択と理由の記入

例では ビジネス街に居酒屋を開業することにしました。

まず、チェック表の順に計画を照らし合わせて、
重要だと思われるものを選択しその理由を記入してきます。

要素 NO チェック項目の細分化選択の理由 選択 
市場 1 マーケットボリュームの存在マーケットボリュームが存在するビジネス街立地 
 2

 顕在需要に対応する

(現れている欲求を満たす)

 仕事帰りの一杯需要は多い。個食が増えている。(*調査やデータが欲しい)
 3

 潜在需要の喚起

(隠れている需要を掘り起こす)

 利用減少傾向にある女性客や若者層の需要を喚起したい
 4 競合を考えた需給バランス 競合店も多いので差別化の工夫が必要だ

商品力

 

 5 商品・サービスの優位性    性能(味・機能・内容) すべておいしいに越したことはないが、一つ二つは名物料理を考えたい
 6価格 仕事帰りのリピーター客を狙いたいので、安さは重要だ
 7環境 裏路地でかまわない 
 8デザイン 競合との差別化、女性客や若者層の利用促進のために重視したい
 8対応  
10提供スピード遅いと回転率が下がる、大きなロスになる
11競合比較  
訴求力12立地立地ある程度の規模のビジネス街
13動線駅に向かう動線を意識する必要がある
14出店施設  
15交通量  
16広告看板駅に向かう客の目を引く、看板が必要
17ネット  
18地域広告  
19マス広告  
20その他口コミ  
21独自の媒体  
22その他 クーポンなどリピーターを獲得する仕組みを考えたい

作成手順3-セールストークとキャッチコピー作成

ここではビジネス街の居酒屋を開業が計画の基本です。

あなたが重要だとか考える要素はこれまででチェックリストにより洗い出されました。

次にそれらの要素を持たす状況が実現できることを前提に、
「複数の要素+アイデア」を盛り込んで、
これならお客様を説得できると思えるセールストークを作成していきます。

  1. 大規模ビジネス街の駅からすぐ、会社帰りに立ち飲みがメインですのでおひとりでも気楽にご利用いただけます。店内無料WIFI、一人でTVや映画を楽しめるタブレット貸し出しもします。(持参ok)[大規模ビジネス街、駅近、個食対応、帰宅動線、低価格,看板]
  2. 中世ヨーロッパの裏路地居酒風を演出、立ち飲みがメインですが欧風料理を小皿で安くお召し上がりいただけます。ドリンクは、ビール・焼酎など通常の居酒屋メニューにワインとシードルなども充実しています。[女性客や若者層の需要喚起、低価格、競合との差別化、デザイン、提供スピード]
  3. ヨーロッパ各国の煮込み料理を週替わりでご提供、人気投票で定番2種を決定します。ぜひご参加ください。(2位までの投票者には、無料券プレゼント)「仕事帰りのリピーター客、リピーターを獲得する仕組み、一つ二つは名物料理を考えたい、提供スピード)

という風に考えていきます。これはもちろん、筆者個人の趣味や要望が入った例にしかすぎません。実際に考えるときは経験や裏付けに基づいている必要があります。

これで「ビジネス街の居酒屋計画」の主な方針ができました。

今度はこれを、さらに短く3つのキャッチコピーとキャッチコピー+計画目名にしていきます。端的に表現することで重要な要素を絞り込むことができるからです。

1.計画目名と計画のキャッチコピー

この計画では、計画名=店名にします。

中世ヨーロッパの裏路地居酒風、一人で楽しめる、煮込み料理がおいしいなどのイメージと看板のデザインなどの要素でアイデアを練り、候補を上げて決定していきます。

店名例「豚とビールの誘惑亭」 名前に内容を盛り込み、○○亭表現でなんとなく洋風イメージを表現してみました。それに、少し変わっていて話題になりやすい、最初は誤解されやすい、略されやすい、「今晩、ちょっと誘惑されに行こうか?というような冗談で使ってもらえる、などの狙いも込めてみました。

店のキャッチコピーは方針と被らないように、少し広範囲の内容にします。例「日々のちょい飲みシーンを彩る」としてみました。

「日々のちょい飲みシーンを彩る」→「豚とビールの誘惑亭」計画 これで、この計画例の計画目名と計画のキャッチコピーが決まりました。

2.重要ポイントのキャッチコピー化

次に、先ほど作ったセールスコピーをキャッチコピー化していきます。

セールスコピーの内容が混ざってもかまいません。重複しそうになればなるほど、その要素は重要なポイントだということです。

ここでの注意点は、○○を××する△△計画という流れを作ること。

ということで、下記のような例を作成しました。

  • 「大規模ビジネス街の帰宅動線にヨーロッパの裏路地風演出の居酒屋を」→「日々のちょい飲みシーンを彩る)豚とビールの誘惑亭」計画
  • 「世界の煮込みをメインに欧風料理を小皿&低価格で提供」→「(日々のちょい飲みシーンを彩る)豚とビールの誘惑亭」計画
  • 「個食化の拡大に向けて一人飲みに居心地のいい空間と工夫を」→「(日々のちょい飲みシーンを彩る)豚とビールの誘惑亭」計画

作成手順4-重要ポイントと作業一覧の整理

これで、事業計画の重要点が明確になり、コンセプトチャートも完成しました。

しかし、何かを重視すれば、忘れられるものも多く、その中に注意点が必ず存在します。

注意点ややらないといけないこと・メリットなどを箇条書きにしておきましょう。

この計画では、さらなる需要開拓を狙っていますが、逆に従来の安定した顧客層=普通の立ち飲み+一般の立ち飲み料理(*近隣の調査要)の利用客を取り込めるのか?

  • ヨーロッパの裏路地風演出による需要拡大+既存の立ち飲み需要を逃がさない空間を考える必要がある。(注意点)
  • 女性客を狙うのであれば、トイレの分離と演出が必要(費用)
  • ある程度の規模のビジネス街の帰宅動線に店舗を確保することが最重要課題(行動)
  • 店舗演出案の研究とに費用を見込む必要がある。(行動)
  • 世界の煮込み料理と欧風料理を小皿で提供するための研究と試作(行動)
  • 煮込み料理は素早く出すことができる(メリット)
  • 小皿料理は、食器の種類を減らすことができる(メリット)
  • 立ち飲み、椅子利用の配分をコントロールできるレイアウト(注意点)
  • 音楽は、流行ではなく、欧州民族系、あまり知らない言語がいい(アイデア)

など、思いつくことをすべて、箇条書きにしておきましょう。

コンセプトチャートと合わせて事業計画書の最初にセットしておきます。

別に事業計画書として人に見せるものではありません。

いらないときは外せばいいのですが、あなたが計画を進めるには大切です。

作成手順5-コンセプトチャートの確認

これでコンセプトチャートが出来上がりました。

架空ですがなかなか魅力的な居酒屋計画になったのではないでしょうか?

チャート自体は単純ですが、
計画内容については真剣に考えないとコンセプトチャートを完成させることはできません。

これが完成したということは、
あなたの計画の方向性が定まり、現時点で重視すべきポイントも判明したということ。

あなたの事業が成功に近づいたということです。