事業計画書ってなんだろう?
なぜ作るの?
どうやって使うの?
何の役に立つの?

「新時代の事業計画書」では、
事業計画書は本来、事業を成功させるために必要な大切なもの。
事業計画をしっかり考え、成立の条件を確定させるためのものだと考えます。
しかし、現状は、事業の内容を説明するために作るものだと思われてしまっています。

説明のために必要なものも、事業の成功に必要な事業計画書も
決めなければならない計画の条件や作成する帳票にそんなに大きな違いはありません。

しかし、作成目的が違うと、到達点も異なります。
事業を成功させる役には立たないのです。
どうせなら、まともな事業計画書を作りましょう。
どこかに提出したり、説明に必要なものは、事業計画書の抜粋ですんでしまいます。

事業計画書は、事業を成功させるために作るもの。
この、当たり前のことが、あまり伝えられていません。
それどころか、2つの誤った解釈が主流になってしまっている傾向があります。

何故、そんなことになっているのでしょう?
その理由をご理解いただくと、事業計画書に関する回り道を防ぐことができます。

このブログは事業計画書作成システムの第3回リニューアルと直営サイト開設に向けて、
事業計画書の意味・目的・構造を見つめなおした内容をもとに作成しました。

「事業&融資に効果絶大!失敗のない事業計画書4つの鉄則」
が事業計画書解説ブログ全体のガイドになっています。
先にお読いただくと、目的別にお読みいただく記事と順序をお解かりいただけます。

目次

第一の間違いーなんの役にも立たない解釈とその弊害

あなたは急に事業計画書が必要になって、慌てているのでしょうか?
調べてみても、具体的なことがさっぱりわからなくてイライラしてはいませんか?

事業を始めるのなら、事業計画書を作ろうとしていなかったこと自体が間違いです。
しかし、調べてみてもわからないのは、決してあなたが悪いわけではありません。

解かりにくいのには主流とも思える解釈すら誤っているかららです。

多くのものが事業計画書と呼ばれている

事業計画書についてネットで調べると、様々な怪情報が飛び交っています。

事業計画書を融資を受けるための書類だと断定したり、1頁で作らないといけないという
エグゼクティブサマリー=要約書と混同しているようなサイトもあります。
自治体などが施設を建設する際に発表する概要書も事業計画書と呼ばれます。

事業計画書について調べていてわかりづらい最大の原因は、
いろいろな立場の人がそれぞれの事業を説明する書面をすべて事業計画書と呼んでおり、
分類や定義もしないで「事業計画書は○○でないと」などと解説しているからです。

実は、事業計画書と呼ばれるものは複数存在します。

事業者サイドが事業の計画の共通認識を持つためのもの。
融資申請に必要な提出物、出資者募集に必要な書類、
実に、様々なものが事業計画書と呼ばれています。

しかし、それらはあくまでも事業計画書と呼ばれるものにすぎません。

しいて言えば、それは事業計画説明書。
誰に対して、何を目的に説明するためのものなのかで、その内容は異なります。

誰もが求めない意味のない答え

様々なものが事業計画書と呼ばれているために、事業計画書を一言で説明しようとすると
「事業計画書は事業計画を書面化したものである」というような表現になりやすく、
実際に似たような説明を行っているサイトも多くみられます。

でも、あなたにとってはどうでしょう?

そんなことを言われて、
何が解かるのでしょう?

いったい何の役にたつのでしょうか?

実は、この解釈は役に立たないどころか、
間違った方向にあなたを導いてしまいます。

この解釈は「事業計画はあるが事業計画書はない」という状況を前提にしています。
きっと、実際の事業を計画したことのない人が解釈したのでしょう。

ほとんどの人は、この状況で明確な事業計画など持ってはいません。

事業計画書を作りながら事業計画を詰めていく必要があるのです。

「事業計画書がない」は「事業計画ができていない」ということ

アイデア・構想・企画・計画
明確な定義もありませんが、段々に詳細が固まっていく感じがしませんか?

それぞれに事業をつけてみましょう。事業アイデア・事業構想・事業企画・事業計画。

あなたは今事業計画書を持っていません。では、いったい何を持っているのでしょう。
事業計画書がなくて、事業計画というるものを持っている状況・・・・・・
あまり、想像できません。

まだ、その前段階のものが頭の中にあるか、
書き溜められたりしているしている状態
ではないでしょうか。

事業計画書は、そのような漠然としたものを
煮詰め→仮定し→計算し→検証し→改善する
ためにこそあるべきものです。

事業計画書を作って初めて、事業計画があるといえるのです。

第二の間違いー悪意のない嘘とその仲間たち

特にネットの世界では、ある間違った事業計画の定義が主流になっています。
そして、その定義を前提とした情報が溢れてしまっています。

それは、あなたが事業計画書を必要だと感じた動機を満たすものである可能性が高く、
あなたにとって理解しやすく、とても受け入れやすいものかもしれません。

でも、それが事業計画書だとすると、作成目的までもが変わってしまい、
事業自体にはあまり役に立たないものになってしまいます。

サイトの情報には偏りがある

新しい概念のビジネスを出資者に説明するための事業計画書と
飲食店開店のための融資申請に必要な事業計画書では、まったく異なるものになります。

でもなぜか、事業計画書は融資獲得のためのものという表現が多くみられます。

それは、急に事業計画書が必要になる理由のほとんが、融資申請のためであり、
配信されるネット上の情報のほとんどを
融資関連の会社や機関が占めているからです。

この解釈では、事業計画を利益や資金などの計数を中心にとらえることを可能にします。
深く中身にかかわらなくていいので、ビジネスがやりやすいわけです。


では、融資を申請しない場合は
事業計画書はいらないのでしょうか?
決してそのようなことはありません。

 

 

事業計画にプロはいない

事業計画書関連のサイト上で専門家やプロという表現が結構使われています。

事業計画の専門家というものはありえません。
もし、そのような表現をしているなら
無責任に言葉を使用していると考えたほうがいいでしょう。

あなたが考える事業、
それは…飲食店?美容院?英会話教室?

いったいどれだけの可能性があるのでしょう。
かってない新たな分野かもしれません。

 

すべての業界に精通し、事業を計画できる、専門家が存在するはずがありません。

税理士等の士業の方々は、別のプロです。経理関係の書式が似ているからと言って、
決して事業計画の専門家などではありません。
サービスを利用する場合でも、書面づくりに限定し、計画の内容を任せてはいけません。

90%以上の融資獲得?

次に融資獲得のプロといったニュアンスも多くみられます。
90%以上の融資獲得率をうたっているサイトもあります。

事業計画が良くなくても計画書の作り方が良ければ融資を獲得できるのでしょうか?
担当に口添えして獲得するのでしょうか?

もちろん、事業計画書は、好き勝手に作ってもいいというものではありません。
事業の成立・成功の可能性を判断するためパーツが必ず必要なのです。
そして、それは本来あなたが事業計画を判断するためのものであって、
融資ために作られれたり、考えられたりするものではないのです。

融資サイドは資金を貸し出し、利息を得ることが仕事です。
決して、できるだけ貸さないようにしようなどと考えているわけではありません。
「失敗しそうな=返済が困難な」申し出を見極めようとしているだけなのです。

あなたの計画さえしっかりしていれば融資を受けることができます。
ダメならば逆に幸いかもしれません。
代わりに無理な要素をチェックしてくれたということ、もう一度練り直せばいいのです。

ご自分の事業は、ご自分でしっかり計画しましょう。
事業計画書はそのためにこそ必要です。しっかり計画すれば、融資はおります。
融資を受けるためだけに、根拠のない数字を作成しないでください。

融資獲得を無理に成功させることは、あなたに借金を残すことにほかなりません。

成功報酬とは何か?

[成功報酬]を前面に立てているサービスがかなりあります。

ここでいう成功とは「融資を受けることができれば」ということ。
あなたにとって成功とは、事業を成功させることで、融資を受けることではありません。

サービス側としては、融資を獲得しなくては、報酬がもらえません。
根拠を考えずに、売り上げを少し増やしたり、経費を削ってみたりして、
「こうすれば、融資を受けられますよ!」

良い提案に思われるかもしてませんが、
「サービス側には報酬を、あなたには借金が」ということにならないようにご注意を。

架空の数字の操作で事業計画書を作って、
融資を受けないでください。


実現性のない計画で融資を受けてはいけません。

[手作り]の良さ?

「手作り]を強調されているサービスがあります。

でも手作りの良さを具体的には説明されているわけではありません。
注文ごとに帳票デザインを考える?パソコンを使わない?電卓をたたいて、手入力?
疑問は尽きませんが、時間もかかりそうですし、修正が気軽にできそうもありません。

事業を判定するための帳票には決まりがあり、事業によって変えるものではありません。
解かりやすさこそ必要ですが、本来の事業計画書はそのまま他に出すものではなく、
デザインに凝ったり、計画ごとにフォーマットを考えるようなものでもありません。

事業計画書の数値帳票には一定のルールがあり、手作りの余地はありません。

テンプレートは役に立つのか?

テンプレートというものも公開されています。

事業計画はすでに詳細までつくり上げてある。
それを記入する意味でのテンプレートということなのでしょうか?

テンプレートは事業計画書と呼ばれるものの帳票の一部を定型化し、
簡単な自動計算の機能を加えたものにすぎません。

事業を考えたり、組み立てたりできるような、そして
事業計画書すべての機能を揃えたテンプレートは見たことがありません。

事業計画書を作るときの帳票サンプルとしては使えるかもしれませんが、
帳票間の数値や計算値の連動が必要となる事業計画書としては
簡単なテンプレートは役に立ちません。

テンプレートはその帳票を作るだけ、計画そのものには役に立ちません。

これが実際に役立つ事業計画書の考え方だ

あなたは事業を始めようとしている。
そして、その事業を成功させたいと思っている。
ということを前提にした新時代の事業計画書の考え方について説明します。

資金獲得にために事業計画書が必要だとしても、事業も成功させなければなりません。
それなら、やはりまともな事業計画書を作るべきですし、きっとその方が近道です。

具体的な構成や内容については、以降のブログで解説していきます。
ここでは、その基本の考え方をご理解ください。

事業計画書は何のために作るのか?

事業計画書は事業計画を第3者に説明するためにまとめた説明書ではありません。
ましてや、融資申請のための書類でもありません。
事業を成功させるために作るものです。

1.事業計画書を作って初めて、事業計画が出来上がります。
現実的には、事業計画があって事業計画書を作るのという流れにはなりません。
事業構想のようなものを事業計画書を作成することで計画レベルまで高めていきます。2.事業計画書は、各局面の判断に必要な設計図のようなものです。
事業計画書は事業の指針になるもの。
「どこを重視する?」「いくらかけていい?」「販売価格はどうする?」などなど。
さまざまな局面で、あなたの判断を助けてくれます。

3.事業計画書は、事業計画の改善のために利用するものです。
事業の方向性に基いて予想した条件での成立や成功の可能性を検証したものです。
ただし、それは現時点での条件にすぎません。
できあがったものをベースに、さらに改善策を考え続けることが大切です。

また、必要に応じて、その抜粋を第3者への説明に使用することもできます。
融資申請用に別の事業計画書を用意する必要はありません。抜粋で対応できます。

これがなければ、事業開始に向けて何を決めるにもすべてはカンだより。
事業の成否は運任せです。

他人に説明する必要がなくても、事業を始める前に必ず必要なものなのです。

事業計画書には何が必要なのか?

では、事業計画書には具体的に何が必要なのでしょう?

最初にどのような事業をするのか、
既存のもであれば、その業種、
新規性が高ければ、顧客層と利益構造を定めます。
誰に対して、何をどのように提供し、
どこから利益を得るのか、ということですが、
業種だけで誰もが解かる場合は、
細かな説明は必要ありません。

次に、マーケットや競合などを考え、
事業を成功させるための方向性を模索します。
場所は?価格は?付加価値は?価格は?などなど。
競合に勝ち、顧客の支持を集める、
事業成功のための重要ポイントをまとめます。

その方向性に基づいて、事業の候補地・初期投資・原価・人員・人件費などなど。
事業化に必要な条件をできるだけ実際に沿うように想定していきます。
重要で特殊なものは、それ自体を計画帳票として作成する必要がある場合もあります。
そうでなければ、単純な分野別一覧でかまいません。

仮定した条件で、資金は足りるのか?利益は上がるのか?投下資本は回収できるのか?
事業の成立と成功の可能性を見極め、検証するための帳票が必要です。
そして、検証の結果、事業が成立していなければもちろんのこと、改善の余地があれば、
再度、条件の見直しが必要です。

これが、事業計画書に最低限必要な要素です。

事業計画書をうまく使うには?

完成した事業計画書は、工事費やアルバイト代、店舗の場所・大きさ・家賃などなど。
あらゆる局面で選択の方向性や費用の範囲を判断するために活用していくものです。
また、必要に応じて、その抜粋を第3者への説明に使用することもできます。

しかし、計画が進むにつれ、仮定の条件はどんどん固まっていきます。
前もって調べた内容とは大きく変わっれしまうものも出てくるでしょう。

計画をと進めていく過程で
方向性や費用が大きく異なると、
その事業計画はもう使えません。
事業計画書を使い続けるには、段階ごとに、
条件を刷新した再検証が必要なのです。

事業に成功のために、
事業計画書を使い続けるには、
「事業化の段階ごとに事業計画書の修正が不可欠」です。
したがって、事業計画書は、修正することを前提に作られていなければなりません。

事業計画書の樂な作り方

仮定した条件が同業種と比べてみて、想定ミスはないか、勝っている、または劣っている
ポイントを把握するための分析帳票なども欲しいところです。
でもそう考えると、作らないといけないものがどんどん増えてしまいます。

事業の方向性・事業の条件はあなた(事業者)が必ず考えなければまらないものです。
しかし、その検証や分析の帳票は、計算書を作成する技術があれば作れます。

事業計画書を何度も作る必要にないあなたが、事業に役立つ事業計画書を作るには。

1.事業を成功させるための骨子を真剣に考える。(無料ツール:コンセプトメーカー)
2.コンセプトに沿って、事業の条件を仮定する。(無料ツール:条件シミュレーター)
3.検証や分析は外注する。(plan-navi、まは修正が容易で廉価なサービス)
4.検証や分析結果から、改善ポイントを考え、修正する。(同サービス)

無料のツールを活用して、事業の骨子や条件を考えることに力を注ぐこと。
手間のかかる計算や分析帳票は、どこかのサービスに任せてしまうこと。
事業計画書の内容を見て、修正を加え改善を加えていくことです。

検証結果に満足がいくまで修正ができれば、現時点での事業基本計画書の完成です。
以降の条件の修正は、実現性を考慮した上で行うことががとても大切です。

まとめ

A さん
目的はわかったけど、結局何をどうすればいいの?

ここでお判りいただきたいのは、
事業計画書は、「事業の内容を説明するために作るもの」ではないということ。
「事業を成功させるための事業計画を固め・まとめるために作るもの」
「事業計画書を作るということは事業計画を作るということ」
ということです。

今回は、後で迷わないように、誤りやすい情報例を挙げるとともに
本来の作成目的を再確認しました。

事業計画がそんなに簡単に作れるはずがありません。
また、簡単につくれるからといって、事業の役に立たなければ意味がありません。

でも、使用目的やその目的に沿った内容を正しく理解することで、
無駄な労力を使わないで、事業の成功に役立つ事業計画書を手に入れることができます。